この建築は、平成19年9月に行われた建築設計競技において最優秀案として選定され、市や市民との多々の協議を経て建築された。
豊田市の自然環境学習拠点の再整備のために計画されたものであり、森と繋がる「みち」を建築化するというコンセプトのもと、建築は緩やかなカーブを持つ2層のボリュームによって構成されている。この2層のボリュームはカーブを反転させた状態で各々の頂点にて重ね合わされ、中央の吹抜けスペースにて上下に繋ぐことで立体的な内部空間を構成している。各ヴォリュームとも内部空間と屋根を持ち、建物のどこからでも森の中へ出かけていくことが可能な計画となっている。子どもたちはこの建物で教えを受け、学び、そして出発ロビーから森へと導かれていく。この建物は人を森へと導く「カタパルト」なのである。
この広大な森の先には、野鳥観察デッキや貴重な湿地帯に配された休憩所など「サテライト施設」と呼ばれる施設群も計画しており、自然環境学習の展示内容や、館内/森全体のサイン、散策コースの策定など、建築を取り巻く状況全体を設計チームでデザインしている。これらは、自然環境学習の意味を真に理解する豊田市の意識の高さとその実行力が形になったと言える。