(つなぐのいえ)
この建物で試みたのは、「新しく建てること」の先にある「持続と更新」を意識した計画である。ライフスタイルの変化に対応する「ブルータルな表現を持つコンクリートの躯体」と「視認できる設備機能」によってその可能性を実装している。基本構成として1階2階ともに一室空間にて設え、無機質な工業用収納棚とワイヤー吊りの反射素材カーテンにて、必要な時に必要なだけを間仕切る仕様としている。
建物は柱250角を基本に壁厚180mmの耐震壁付ラーメン構造を採用し、柱と梁を一体化させている。そのRC壁の外側には、壁で75mm、屋根で100mmの打込み断熱材を施し、さらにその外側に通気層を据え、ガルバリウム鋼板で全体を包み込んだ外断熱構法とした。開口部サッシも躯体へは直接取り付けせず、徹底的な断熱効果を図っている。
設備計画としては、電気配線、衛生配管とも、主要室の壁際の床下部に計画された配管配線専用のスペースにて各所へ取り回して、床下から室内へは鉄管内に配線し、立ち上げている。空調計画としては、床下に施された水蓄熱システムにより、コンクリートスラブ躯体へは直接蓄熱され、また室内で温められた空気は壁躯体や屋根コンクリート躯体へ蓄熱することによって、年間を通して緩やかな温熱環境の維持を叶えている。この水蓄熱システムは常時5トンの水を蓄えており、自然災害等の発災時には近隣へ生活水を提供できるという社会的貢献性も備えている。
このように「意匠計画」の上に「構造計画と設備計画」の徹底的な統合(インテグレーション)を目指した計画として、統合=系を創るという意を込め、「系(つなぐ)の家」と名付けている。