山形大学工学部創立100周年記念会館 プロポーザルコンペ

■コンセプト
「単純な部材」で「複雑な風景」を作り出すこと。これが建築計画の主題である。
本計画は、求められている諸条件に柔軟に対応できるよう、それぞれの機能を配置している。外周部を一枚覆う事で全体にまとまり感を与え、ふと立ち寄った人でも、建物内を自由に歩き回れるよう計画している。来訪者は建物の編み込まれた壁を通して、様々なアクティビティーを感じる事が出来、また、室内の活動の風景は建物の外にまで広がり、新たな人々の活動を促すものとなっている。
外周壁を含めた全ての壁は、地場産の金山杉間伐材(90mm×90mm×6m)を使用。柱の高さは皆同じなので、各室の床レベルを変化させる事で木材の角度が変わり、壁面の密度も変化する。壁の疎密を利用して、プライベート性の高い空間、中庸的な空間、そしてパブリックに開かれた空間に領域分けし、それぞれに対応した機能を与えた。また、この壁の規則的で美しい模様の重なり合いが程良く視線を遮るので、開放的でありながら心地よく視線が制御された空間をつくりだしている。更には必要な箇所には、山形に古くから伝わる深山和紙を所々に使用しており、視界や光を制御しプライバシーを守る。
様々な角度で織り上げられた木材が折り重なる美しい模様と、建物から漏れる和紙の暖かく柔らかい光のファサードが、雪深い冬の米沢にあっても、周囲を暖かく照らす灯りとなる。
■構造計画
木造の平屋建てとなるこの建物の主たる構造として、90mm×90mm×6mの木材をバランス良く編み上げ構成している。モチーフとして、米沢に伝わる織物「米沢織」に倣っているものである。編み込まれた木材は、全て耐力壁としてとして作用し、山形の豪雪の中でも水平・鉛直荷重を効率よく支持する事が出来る。また自然環境や地場産業に配慮し、木材は金山杉集成材の間伐材を使用。部材長さも、普及している6mの部材にて全ての構成要素が計画出来るため、ローコスト化に対処している。
■環境設備計画
建物の構成・立地条件等を考慮し、意匠的にも構造的にも理に適った設備計画を目指した。また、省資源・省エネルギーで尚かつ最大のコストパフォーマンスに繋がる設備システムを積極的に導入していく。
主たる環境設備計画としては、外周壁と各個室群の間にバッファーゾーンを設ける事で、空調効率を向上させている。
また、各個室群は個別空調が可能なので、使用状況に応じて効率的に空調される。

関連HP
社団法人 米沢工業会  http://ykk.jnts.ne.jp/

所在地
山形県山形市
用途
教育施設