標高1000mの高原道路をかすめる、森林の中にこの住宅はある。クライアントの要望は、大きなワン・スペースの空間で、いろいろな「場所」を愉しむことができるような住宅であった。そんな多くの特性あるスペースを計画するために、2階建ての住宅の中を4層に分けて計画している。各スペースの基本的性能をしっかりと満たしつつも、階段や吹き抜けで各層を緩やかに繋ぎ、視覚的な連続性を計画している。4層を重ねつつ全体を一つの空間として計画したことで、大きなラウンジ空間はいわば音楽ホールのステージのような、各スペースからの視線を集める場所となっている。
そのコンセプトは外観にも現れており、各層が突出する形態はそのまま内部の層構成を表現している。閉じた印象を与えるエントランス側に対し、南に開くラウンジ側は高さ3.6mのガラス開口部を計画し、陽の光をリビングスペースの奥まで導く。また、全体のヴォリュームから突き出したヴォリュームは、室内は書道室として、屋上は外部デッキとして計画しており、各々のアクティビティーによってリビングスペースの雰囲気を乱さないように配慮された配置計画となっている。