Taylor Foods

本計画は、日本と香港を拠点に魚介類卸業を担う施主の新たな加工場として、築地のビル1階を改修するプロジェクトである。
敷地は、築地の波除通りに面し、目の前には船着き場が新たに建設され、将来、人のにぎわいが増えることが期待されるエリアに建つビルの1階である。

加工場は、船着き場から出てくる人々が最初に目にする築地の風景となるため、ファサードでの見せ方が重要と考えた。大きな開口部周囲に取り付けたSUSパネルにより開口部をフレーミングすることでショールームのような加工場として、内部の作業風景をPRできるファサードとしている。さらに、内部の構成については、壁の仕上げを作業台と仕上げを合わせたSUS 2B、床を特注色による黒いウレタン系塗床材、天井を黒のEP塗装とすることで、立面要素をSUS系、その他(床/天井)を黒として、エレメントを整理したシンプルな空間構成を目指した。

平面計画としては、冷蔵庫/冷凍庫の設備や荷物置場、搬入経路をバックゾーンにまとめることで、不要な要素を正面から見えないように整理した。また、メインファサードに設けられた間口いっぱいに開く開口部は、ファサードのエレメントを減らしつつ、搬出時の作業動線をスムーズにする加工場にとって必要な機能も果たしている。

各要素を整理したファサードとすることで、船着き場建設後に往来する人々の築地への期待を受け止め、新しい築地のイメージがつくられることを願っている。

設計
建築
株式会社遠藤克彦建築研究所
設備
有限会社コモド設備計画
主要用途
魚介類加工場
延床面積
83.89㎡(改修部)
構造
RC造
竣工年月
2022年11月竣工
設計担当
遠藤克彦/田中麻未也/森永涼平