軽井沢深山の家

「開かれた場所」と「閉じられた場所」を意識的に横断させていくこと

旧軽井沢を見下ろす高台の、東向き斜面に計画された別荘. 9.9×9.9mの正方形平面によるきわめてプライマリーな立方体ヴォリュームをもとにこの建物は計画されている。建主は夫婦でそれぞれが毎日の仕事で多忙であり、週末に訪れて束の間の休息を得るための場所として、この地での建築を求めていた。

この住宅は、リビングとダイニングを中心とした「開かれた内部」と、その他の「閉じられた内部」の、ふたつの異なる性格をもつ場所によって計画されている。「開かれた内部」とは、この住宅では外形を規定する立方体からくり貫かれた部分であり、建築という閉じた空間の中においては、いわば「開かれた場所」といえる。一方「閉じられた内部」は、機能的には私室やサニタリー・書斎などを指し、くり貫かれた残りの部分に、浮遊するヴォリュームの中に閉じ込めるよう計画している。この住宅ではそのふたつの異なる性格の内部空間を計画することで、家族内のパプリックとプライベートを同居させようと考えた。また、その移動が生活行為の象徴的なものとなるよう、リビング・ダイニングを形成する下階ヴォリュームと寝室を含む上階ヴォリュームとは周囲360度をサッシで切り離し、違うヴォリューム内に入るという行為を動線としてつくり出している。完全に切り離されたヴォリュームの間からは四季折々の自然の風景が、場所ごとの開放度をもって視界に飛び込んでくる。

この住宅の計画意図とは、「開かれた場所」と「閉じられた場所」を意識的に横断させていくことにある。それは結果として外と内との境界の多様性を探すことに繋がっていき、建築という塊自身が境界を規定していく、そんな可能性を私はこの住宅に見出している。

所在地
長野県北佐久郡軽井沢町
用途
別荘
建築設計
遠藤克彦建築研究所
構造設計
長坂設計工舎
敷地面積
1689.86㎡
建築面積
98.01㎡
延床面積
130.47㎡
構造
鉄骨造(一部RC造)
規模
地上2階
施工
株式会社 竹花組