軽井沢北聖沢の家

「プライマリー形態を有機的に繋ぐ」

賑わいに溢れる旧軽井沢商店街を抜け、その喧噪も消えるころには道はどんどんと急な坂道となっていく。車同士がすれ違うのも気を遣うような幅の車道を何度かターンした後、谷筋に向けてハンドルを切った斜面地に敷地はある。広大で、谷を挟んでいて、降りていくと自然の小川が流れていた。
東京近郊に住み、多忙な会社経営の日々を過ごすクライアントの要望は、自分たち夫婦、息子家族、そして娘家族の三家族が、時には一緒に来て家族団らんの時間を過ごし、時には各家族が来たい時に来て自由に過ごせるホテルのようなプライベート性を持った別荘であった。
多くのスタディの結果、辿り着いたのは「プライマリーな平面形態の各住戸棟や機能棟」、そしてそれらを繋ぐ「コモンスペース」というデザインである。玄関棟、リビング棟、主寝室棟、サニタリー棟、家族A棟、家族B棟、そして駐車場棟と各棟を独立させて配置し、各家族が専有スペースと家族の共有スペースを状況に応じて使用できるよう計画している。各棟を繋ぐ「コモンスペース」は各々の棟に対して60度の角度で計画されており、各棟を繋ぐ為の通路的な空間であるのと共に、家族同士のプライバシーも緩やかに確保するための「緩衝空間」としても機能している。各棟は各々が違う素材感を持ったテクスチャーでデザインされ、外観の統一感とは異なった、テーマ性のある内部空間を提供している。

所在地
長野県北佐久郡軽井沢町
用途
別荘
建築設計
遠藤克彦建築研究所
構造設計
坪井宏嗣構造設計事務所
敷地面積
6070.84㎡
建築面積
373.96㎡
延床面積
360.74㎡
構造
鉄骨造
規模
地上1階
施工
株式会社 竹花組