JR 軽井沢駅の新幹線ホームから北方を望むと、特徴的な形をした離山(はなれやま)を眺めることが出来る。この建物はその離山の山麓にて、視界に軽井沢町を眺められる場所に計画された。敷地は傾斜地で上下を道路に面しているにも関わらず、上の道路からは距離が離れており、下の道路からは傾斜によって視界を遮っており、非常にプライベート性が高い敷地となっている。また敷地や敷地周辺の環境の大部分は自然保護条例によって建築制限が科されており、良好な生活環境を維持しているのと同時に、限定されたエリアの中での建築計画の立案となった。
建物は2層のボリュームが積み重なるように配置されており、傾斜角度を利用して上階からのエントランスとなっている。そのため下階は半分以上は土中に埋められており、景観を壊すことなく大きな空間ボリュームを計画している。
各階とも平面は正三角形を基準としたプラン手法によってまとめられている。上階にはエントランス、リビング・ダイニング・キッチン。下階にはサニタリーの他に寝室が3部屋計画されており、層構成によって、別荘生活における「パブリック/ プライベート」を分離できるよう計画している。多くのゲストを招いてパーティ等を行う可能性がある建築には、何かしらの生活配慮が求められよう。
竣工時に行われたフルートコンサートは、その特徴的なリビングの天井形状によって、得難い経験として記憶に残っている。