この建物は、新聞販売を中心とした、地域社会が持つべき「メディアセンター」であるとイメージしました。そして建物自体がその「メディア」を表現しなければなりません。この建物で表現すべきと考えた「メディア」は、「24時間動いているという躍動感」、つまり「時間」をデザインすることに他なりません。
昼、明るい太陽の下を歩く人が見る建物は、印象的な「黒い艶」で覆われた外形です。敷地周辺のランドマークとなるべく、その形態は幾何学図形から切り取られたかのような鋭いシェイプを見せます。また、その強い印象は働く人に「この場所この建物で働いていること」の楽しさを伝えます。
夜、漆黒の闇中に浮かび上がるのは、切り取られた開口部から漏れる「光の形」です。夜空に消えていくような外壁面の色とは対照的に、内部から漏れる光がカタチを持って、内部で行われている仕事を表現します。
この建物は1日24時間、動き続けます。「メディア」とは日々の生活に欠かせない「新鮮な情報」であり、その配達を行うスタッフは正に情報伝達の担い手であるのです。そして「メディア」の象徴が「24時間をデザイン」した建物でありたいと考えています。
可能であれば、私たちはこの建物に関係する全てをデザインしたいと考えています。それは毎日乗るバイクからユニフォーム、ヘルメット、そして会社案内、社内誌までもです。トータル・イメージで「働く環境」のデザインをすることが出来れば、もはや、それは会社から地域へのメッセージであり、その「デザイン・コード」で導かれる社内の作業風景は、販売所スタッフの成長にも必ず繋がっていくと考えています。
私たちが提案する建物は、地域社会を24時間、絶え間なく照らす「時間の灯台」なのかも知れません。