茨城県大子町新庁舎

茨城県大子町は県北部に位置し、栃木県福島県との県境を持つ自然豊かな町。2018年6月、「大子町新庁舎建設基本構想・基本計画」の設計プロポーザルにおいて設計者に選定され、以後基本設計を取り纏めてきた。しかし2019年10月の台風19号によって当該敷地を含む中心市街地に甚大な被害があったことから、同年12月に高台に位置する「旧東京理科大学大子研修センターグラウンド(旧大子二高跡地)」に敷地移転を決定。2020年5月末に新たな基本設計案を取り纏め、2021年春の着工予定で計画を進めている。

旧計画では浸水対策として鉄骨造にて計画されていたが、新敷地では純木造を採用、大子町に広がる八溝山系の杉やヒノキなどの地域産材を多用する計画としている。また日射負荷低減や風雨による影響を考慮し、大きな軒面を持つ大屋根の庁舎として、大子町の自然と呼応する新たな風景の創出を試みている。内部空間は将来の組織改変に応えられる可変性と更新性を担保できるよう大きな一室空間を目指し、その構造計画としては柱間距離を2間(3600mm)モジュールで統一。一般流通木材を念頭に木材市場流通の活性化・波及効果も期待できるよう、サステナブル建築としての材選択性、汎用性を計画している。

またワンストップで行政サービスを受けられるよう業務上連携がある課を同一階に配置し、町民が訪れやすいバリアフリーな環境を計画。見通しの良い、木造のおおらかで開放的な空間デザインと伴って、視線を誘導しやすく、町民に優しい、わかりやすい動線計画を目指している。従前からの行政拠点機能としてだけではなく「町民が集える交流拠点機能」を備えることで、新しい時代にふさわしい庁舎となるよう、各階には町民が普段利用できるブックラウンジや町民ホールなどを配置。新しい敷地の特性も活かした、多方向への繋がりを生むフレキシブルな内部空間となっている。

大子町新庁舎は、中心拠点施設としての行政機能はもちろんのこと、大子町の活性化を視野に入れた様々なイベントも行える総合的な施設として、いわば「まちの装置」として計画を進めている。2022年4月完成予定。
 
基本設計概要